タイムトライアル2017⑤〜一人じゃない〜 12/31
歩幅は通常時の半分以下くらいに狭まってた。
今までの苦しい、しんどいを超えるつらさ。
膝が曲がらないから伸ばしたまま引きずるように歩いた。
膝のクッションがなくなって着地したときの衝撃が全て足裏に集中。俺もいよいよやばいんじゃないこれ!
ずっと流してた音楽すらも聴きたくなくなって止めた。
ナカイさんが西部林道で音楽聴いても、キマらねえ、と言ってたときの気持ちが今ならわかる。
だんだん空も暗くなってきて、良いことを考えようと思ってもどうしてもネガティブになってしまう。
そんな精神的に一番つらかったこの時間帯、起死回生の出来事が起こる。
志戸子地区を過ぎて、宮之浦地区を目指していた最中、サポート車が停まってくれた。
カワベさんが窓から、
「おにぎりいる?」
「いります!いります!」
「帰ったらねーさんにお礼言ってね。止まるな。歩け歩け!」
実は西部林道でナカイさんがストックを渡されたとき、フリーターはサポートに来てたともちゃんに「おにぎりって追加でお願いできるかな?」と聞いていた。
そのときともちゃんが持ってたおにぎりを一個もらって、それから数時間後にさらに彼女から連絡が。
「夕方おにぎり欲しい?」
お願いします!
「ねーさんのが間に合わないので買っていきます!」
おなしゃす!!
そんなやり取りをしてたからおにぎりが来るのはわかってた。
あ、ねーさんのおにぎり間に合ったんだ。
まだ温かいや。嬉しいな〜。
冷める前に食べてしまおうと受け取ってポケットに入れてたおにぎりを取り出した。
こうさく
がんば!
ふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
わわわーーーーーー!!!!!!!
たったこれだけのねーさんからのメッセージ。
息を吹き返すには十分だった。
泣いた。フリーター23歳は泣きながらおにぎりを食べた。泣きながら歩いた。
痛み止めも飲んだ。
勝負はこっからじゃーー!!!!
そのあと来てくれたまこっちゃんとともちゃんにもチョコと味噌汁をもらった。ありがとう!!!
ゴールが見えてきた!!
このとき宮之浦。再覚醒したフリーターは走っていた!
どう見積もっても走れる脚ではないのに!それほどあのおにぎりとメッセージは原動力になった!
もう一つ走る原動力になったのは、前にアズーサがいたから。
サポートの人たちによると、まだ追いつけない距離ではないらしい。
だったらアズーサに追いつきたい!抜き去りたい!!
待ってろアズーサァァァ!!!!!!
だがしかし、進めど進めどアズーサに追いつかない。
もしかしてヤツも走ってるのか!?マジで!?
そして覚醒タイムは終了した。
ツイートの文字通り、極限。
アズーサはもうゴールしてしまったのだろうか。
それとも、暗くて見えないだけでほんの数百メートル先にいるのだろうか。
フリーターにはわからない。
近くにいるとわかったところで再び走る力はもう残っていないかもしれない。
一歩踏み出すのにこんなに力振り絞らないといけないのか…
このときは「ひろうこんぱい」という言葉が脳内をぐるぐるぐるぐる回ってた。
あと少し!あと少し!がんばれ脚ぃぃぃ!!!!
あとたったの1.5km。
けどめちゃくちゃ遠く感じる。
ゴールは少しずつ確実に近づいてる!
みんなが待ってる!!!!
みんなのとこに帰るぞおおおお!!!!!
さくら〜〜ふぶ〜きの〜〜〜♪♪
サライ〜〜のそ〜らへ〜〜〜♪♪
ついに県道からとまり木に入る道に差し掛かった!
サポートの人たちが待ってくれていた!!!
あとはこの200mほどの坂を登りきるだけ!!
サポートのみんな、子どもたちが一緒に歩いてくれる!
みんな出てきてがんばれって声をかけてくれてる!!
フリーター、ついにそのときを迎えた。
スタートから20時間25分、2017年12月31日20:25、屋久島一周タイムトライアル完歩ォォォォ!!!!!!!
思い返せば歩いてるとき一度も座らなかったなあ。
このイスは極楽だった。
みんなが祝福してくれた。サイコー!!!
実に過酷な競技だった。
ただ歩き続けることがこんなにもつらいことなんて、経験しなければ一生わからなかった。
サポートしてくれたみんなには心の底から感謝しています!
モレちゃんの写真をお借りして。
ゆうへいさん、ハヤシさん、もえさん、つくちゃん、
ナカムラさん、ニシさん、ともちゃん、
こいけファミリー、あやちゃん、
いえもとさん、ちゃっちゃん、
カワベさん、
フジノさん、
まきこさん、てっちゃん、
厚いサポート本当にありがとうございました!!!
そしてねーさん、
あのおにぎりが無ければ一番つらかったあの状況を立て直すことはできていなかったかもしれません。ありがとーーー!!!!!
こうしてフリーター2017年最後のチャレンジは終わった。